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裏目に出たメッシへの過剰意識 しかし、ジダン監督がサプライズ采配の代償を受けるのはこれからだ。

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 0-3。いくら今季のレアルが不調に喘いでいると言っても、本拠地サンティアゴ・ベルナベウでこれほどまでの大敗を喫するとは誰も想定してはいなかっただろう。



 日本時間でクリスマスイブに行われたレアル・マドリードとバルセロナの「エル・クラシコ」は、三点差でバルサが大勝を収めた。



 決して力量で劣っていたわけではなかった。C・ロナウドの盛大な空振りを含め、前半で何度か得た決定機をことごとく不意にし、集中力が乱れたところをバルサに効率的に突かれた結果である。



 明暗が分かれたのは、先制点を与えてしまった場面だ。この日、ジネディーヌ・ジダン監督は、チームで最もキレのあるMFイスコをベンチに置き、MFマテオ・コバチッチを先発に起用するサプライズ采配に踏み切った。狙いは明白。メッシ封じの大役としてフィジカルに長けたコバチッチを抜擢したというわけだ。



 コバチッチは与えられた仕事を全うしていた。前半はとにかくメッシに決定的なプレーを演出させぬよう食らいついていた。しかし、それが裏目に出たのが後半9分だ。



 MFセルヒオ・ブスケッツから縦パスを受けたMFイヴァン・ラキティッチがピッチ中央から敵陣をドリブル突破。最も近距離にいたのがコバチッチだが、メッシの方をチラチラと確認しながらパスコースを消すことに注力。



 そのため思う存分フリーでドリブルを行えたラキティッチは結局ボックスエリア付近まで到達し、右サイドのMFセルジ・ロベルト、ゴール前で構えていたFWルイス・スアレスとダイレクトで繋がれ失点を喫することになった。







 コバチッチが足を伸ばし、ファウルでもプレーを止めていれば失点には繋がらなかった、何でもない場面。普段のレアルであれば犯さないようなミスだ。クラシコという大舞台でありえないような対処ミスの原因こそ、メッシの存在。ジダン監督は、あまりにメッシを意識しすぎた。



 ジョゼ・モウリーニョ政権の時ようにDFペペをアンカーに置き、90分間メッシにマンツーマンでべったりマークさせると完全に割り切るプランであれば問題ない。しかし、コバチッチに与えられた役割は、徹底マークではなく、守備時にメッシ封じ、攻撃時に前線とのリンクマンを請け負うという、非常に難しい注文だった。結果、攻守に渡り中途半端なパフォーマンスに終始してしまったのだ。







 そして、この敗戦でレアルはリーグ優勝の目がほぼなくなったわけだが、それ以上に深刻な問題が浮き彫りになることが予想される。それは、イスコの存在だ。



 これまで低調レアルの中で孤軍奮闘してきたイスコは、もはやチームの顔と言っていいほどの輝きを放っていた。それこそバルサにおけるメッシの立ち位置に、イスコが入っているといっても過言ではない活躍だ。



 今季開幕前までは出場機会の少なさに不満を示していたイスコは、最終的には残留を決断し、25 歳とこれから迎える全盛期を白い巨人に捧げる覚悟を決めた。しかし、蓋を開ければクラシコでは出番を与えられない始末。翌日の練習で不満を露呈していたことに対し、誰もそれを責める権利はないはずだ。それだけ今季のイスコは、レアルにおいて不動の主軸だったのだ。



 そのイスコがモチベーションを下げ、再び退団へと気持ちが移り始めると、もはやレアルの復活への活路は途絶えることとなる。



 FWアルバロ・モラタ、MFハメス・ロドリゲスと未来のレアルを担うはずだった逸材たちは、すでにこのクラブを去ってしまった。もはや機動性の劣化を隠せないFWカリム・ベンゼマ、C・ロナウドを切る英断が下せなかったツケが、これから回ってくることとなる。だからこそ、イスコだけは手放してはならない。彼こそが、崩壊寸前の銀河系軍団にとって最後の希望なのだ。



【了】



城福達也文 text by Tatsuya Jofuku

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