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今のリバプールを見ていてモヤモヤするのはなぜ? その背景にある脆弱な守備以上の深刻な問題は…

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 今季のリバプールを見ていて、モヤモヤせずにはいられないサポーターが過半数を占めていることだろう。まだ7試合消化時点で3勝3分1敗の7位。まだ悲観的になる段階ではないが、それでもそのわずか7試合で首位を走るマンチェスター両雄に勝ち点7差も離されている事実からも目を背けることはできない。



 では、そのモヤモヤは一体どこから来ているのか? 世間はきっと脆弱な守備を責める方々が多いはずだ。それはもちろん昨季に引き続き改善の見られない失点数に問題があることは間違いない。



 それでも、少なからず7試合終了段階で、昨季は今ほどのストレスを感じてはいなかったはず。要するに、モヤモヤの要因は、少なからず守備のみならず攻撃面にも付随しているということになる。



 今季のアタッカー陣の成績を確認してみよう。まずロベルト・フィルミーノは7試合出場の2ゴール2アシスト。サディオ・マネが5試合出場で3ゴール0アシスト。フィリペ・コウチーニョが3試合出場で2ゴール1アシスト。そして新加入のモハメド・サラーが7試合4ゴール2アシストだ。



 このように前線の選手たちの成績を見ると、決して悪い数字ではない。昨季の7節終了時点のものと比較しても、フィルミーノが6試合出場3ゴール2アシスト。コウチーニョが7試合出場3ゴール2アシスト。このように、昨季と比較しても得点面においてはほとんど差がなく、むしろサラーという起爆剤が入ったことで上乗せに成功したと言えるだろう。



 それでも、昨季ほどの爆発力が欠けているように映るのは一体なぜなのだろうか。その答えの1つとしては、選手たちの最大値“にある。



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 こちらは昨季の基本フォーメーション図だ。主将ジョーダン・ヘンダーソンがシーズンのほとんどで負傷離脱を強いられたことが痛手となったものの、3トップに関してはリーグ最強と言っても過言ではないほどの攻撃力を遺憾なく発揮していた。



 昨季は左ウィングにコウチーニョ、右ウィングにマネが配置されていたが、この両翼がリバプールの最大の武器となっていた。左から中に切れ込みミドルを狙うコウチーニョ、右で縦に突破し守備網を打開するマネ。両者ともに最大値を引き出せるポジションで存分に本領を発揮していた。それに対し、今季はどうだろうか。



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 こちらが今季の基本フォーメーション図になるが、まず大きな違いとしては、新加入サラーが右を主戦場としているため、マネが左に入ることとなった。それに伴い、コウチーニョはインサイドへとシフトした。



 両者ともに世界屈指のワールドクラスの存在。ポジションをずらされたからといって実力を発揮できないなんていうことはない。今季もこの2人は別格の存在感を放っていることには変わりない。



 しかし、最大値を引き出すことができているかと言われると、そこには疑問符を投げかけずにはいられない。



 まずマネは、左での自身の振る舞い方をまだ掌握できていない様子が度々見受けられる。右サイド時は縦に突破した上でクロスか、そうと見せかけて切り込むのか、など多くの選択肢を擁していたが、その点においては、昨季ほどの選択肢を左サイドのマネからは昨季ほど感じ取れない。



 さらに、マネはコウチーニョよりもサイドに張る時間が長いことから、スペースに走り込むサイドバックのオーバーラップの機会が減少する傾向にあり、アタッキングサードで人数をかけるという点では昨季に劣ることとなる。昨季は左サイドのコウチーニョが中央に入っていくプレーだったことから、レフトバックに配置されていたジェームズ・ミルナーのオーバーラップが随所に見られ、リバプールの持ち味ともなっていた。今季主力の座を掴んでいるアルベルト・モレノは、攻撃力が売りにも関わらず、効果的なオーバーラップは影を潜めているのが実情だ。



 そしてコウチーニョに関しては、どのようなプレーにおいてもワールドクラスの領域にある中、唯一と言っていい苦手分野が、相手を背負ってボールを収めることにある。左サイド時はよほどの密着マンマークでない限り相手を背負う局面は見受けられなかった。ボールを受け、目の前の相手と11、そこから中に切れ込んで右足を一閃、という一連の流れがコウチーニョの真骨頂だったのだ。



 一方、トップ下やインサイドハーフでプレーする際は、どうしても相手を背負いながらボールを受けなければならない場面が出てくる。それを嫌がるコウチーニョは今季、前を向いてボールを持ちたいが故、ボランチの位置まで下がってくる回数が増加した。そこから突破していく推進力やキラーパスを出すチャンスメイク力も相変わらず目を見張るものがあるが、下がってきてボールを持った時点では、昨季よりも低い位置でのプレーとなることは明確であり、先ほども述べたように、アタッキングサードに昨季以上の迫力をもたらすことは難しい注文となる。



 そしてウィングをセットで見ると、スピードスターのマネ、テクニシャンのコウチーニョと全く異なるスタイルの選手が両翼でプレーすることで、攻撃面で多様性がもたらされ、相手チームにとっては極めて掌握しづらいタッグとなっていた。

 一方、マネとサラーのウィングは両者ともに最大の武器がその俊足であることから、攻撃が単調になりがちで、オープンな試合でこそ最大の脅威となるが、引いてきた相手に対し、打開策が見出しにくくなる傾向にある。



 それでもサラーは現在チーム得点王であり、決してベンチに甘んじる存在にするべきだと言っているわけではない。ここで指摘したいことは、現在のチームの最大値を見出すならば、フィルミーノ、マネ、コウチーニョ、サラーの4人をスタメンで同時起用するという発想から、90分間で4人を起用すると考え方に転換した方が、組織としてのバランスは保てるのではないだろうかということだ。



 サラーが先発ならばマネを途中で流れを変えるジョーカーとして手元のカードに置いておき、またマネが先発ならば同様にサラーをジョーカー役に。裏を取れる対戦相手ならば、サラーとマネを同時起用し、相手選手が疲れてきたタイミングでコウチーニョを投入し無双させるといったオプションも作れる。



 守備力や連携面のバランスを踏まえると、必ずしも4人全員を先発させなければならない概念から一旦離れてみることが、今のチームにおいて、このモヤモヤ感を除去する1つのきっかけになるのではないだろうか。



【了】



城福達也文 text by Tatsuya Jofuku


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