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ファン・ダイク獲得失敗を責めるべきではない。なぜならリバプールも同じ土俵際に立っていたからだ。

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 リバプールは9日、プレミアリーグ第4節でマンチェスター・シティと対戦し、敵地で0-5とよもやの大敗を喫した。



 前半37分にチームの中核を担うFWサディオ・マネが一発退場となったことでゲームプランが崩れ、チーム全体が乱調してしまった。これに関しては、「こういうこともある」と割り切る案件だと個人的には思う。ベストメンバーの万全な状態で力負けしたのであれば深刻な展開となっただろうが、前半中にマネ退場という事故“をきっかけに崩壊したのであれば、逆に反省点は明確。



 試合後のユルゲン・クロップ監督の「こればっかりは仕方ないな」と言わんばかりに清々しさすら垣間見える表情が、それを物語っているように思う。決してスコアの差ほど悲観的になる必要は全くない大敗だった。



 だが、今の話はあくまでマクロな視点。ミクロな視点でこの一戦を見ると、やはり気になったのは最終ライン。特にDFラグナル・クラバンとDFトレント・アレクサンダー=アーノルドの間のスペースの対応だ。この日2得点のシティFWガブリエル・ジェズスが特にこのスペースを突き、そしてここから決定的なピンチを幾度となく作り出されていた。



 右サイドバックのアーノルドに関しては、長期離脱中のDFナサニエル・クラインが戻るまでの穴埋め且つ、次世代のリバプールを担う存在でもる。その故、将来を見据えた育成枠として、このような厳しい戦いをどんどん経験していくべきだと考えている。昨季もマンチェスター・ユナイテッド戦で相手FWアントニー・マルシャルに完膚なきまでに叩きのめされてしまったが、これはアーノルドにとって確実に重要な経験となったはずだ。少なからずクラインが復帰するまで、ここのポジションについては組織として長い目で見る必要がある。



 一方、問題はクラバン。DFデヤン・ロブレンのように注意不足、集中力不足からのミスはほとんど見られず、実直で献身的なCBだ。しかし、だからこそ、先日のシティ戦のような大一番であそこまでやられてしまうと、それだけ明確に限界値が見えてしまう。中堅チームでは通用しても、ビッグ6相手には標的“とされてしまう。残酷なようだが、ここに関しては優勝を狙う上で決定的に実力不足であることが否めない。ロブレンの方がポテンシャルとしては高いが、それでも安定感に欠けることを考えると、ロブレンをバックアッパーにするくらいの選手層が理想的だ。



 だからこそ「ファン・ダイクを獲得してくれ!」と強く願っていたサポーターの方々が過半数を占めていることだろう。そして、最終的に獲得できなかったことに対し、「何やってるんだフロントは!」と怒り心頭な方々も少なくないかもしれない。



 しかし、個人的には、DFフィルジル・ファン・ダイクの獲得失敗を責めるべきではないと考えている。なぜなら、それはリバプールがMFフィリペ・コウチーニョ流出を死に物狂いで阻止した立場にあるからだ。



 バルセロナから受けた仕打ちを、リバプールはサウサンプトンに行っていたということは紛れもない事実だ。そして、リバプールはなんとかコウチーニョ流出を阻止することに成功した。だからこそ、サウサンプトンがファン・ダイク流出を頑なに固辞した姿勢について、どのクラブよりもよく理解できるはずだ。



 どちらにせよ、いまだリバプール加入を熱望しているファン・ダイクが来夏に加入する可能性はおそらく高いだろう。それと同様に、いまだバルサ加入を熱望しているコウチーニョが来夏チームを去る可能性も、同じ分だけ高いのだ。



 シティ戦に話を戻すと、マネ退場を踏まえると、結果論としてはコウチーニョをベンチに入れておくべきだったのかもしれない。しかし、負傷していると伝えられていた中、ブラジル代表ではキレキレの動きでゴールまで奪っていた彼が、クラブに戻ってきた途端に再び登録メンバーから外れたとなると、やはりバルサ加入失敗に終わった精神的ダメージは拭えていないということだろう。



 そして、この試合後半から3バックに切り替えたリバプールで、まさかの最終ラインの真ん中を務めたMFエムレ・チャンも来夏のユベントス移籍の可能性が極めて高くなっている。ライプツィッヒMFナビ・ケイタの来夏加入の“予約”を現時点で済ませたのは、チャンの後釜を見据えた動きであったことも推測できる。



 これは非常にスムーズな対応であったと思う。ライプツィッヒからしても、少なからず土壇場でケイタを引き抜かれてしまうよりかは、今季限りでの退団から逆算してじっくり後釜を模索することもできる。リバプールも移籍金の跳ね上がるパニック・バイを回避することができた。要は、双方にとってダメージを最小限に抑えることができるのだ。



 だからこそ、コウチーニョとファン・ダイクが今夏それぞれ残留したことは正当性があると言える。リバプールはこれからコウチーニョの後釜をじっくりと定めることができ、サウサンプトンもファン・ダイク退団に備えて熟考する時間が与えられたことになる。



 今季に関しては、少なからず冬の市場までは現状の戦力でやりくりしていくしかないわけだが、本来選手の移籍というものは、両チームが互いのリスクヘッジを考慮するリスペクトを持ち合った上で進めるべき交渉であると考えている。



 選手に関しても短いキャリアの中でなるべく早急なステップアップを望む心情も理解できる。しかし、契約期間中はプロとして所属クラブと冷静に向き合う必要性があることは確かだ。新契約を結ぶということは、ある程度の自身の去就をクラブに委ねる意味合いが大きいということだ。今季限りでチームを去るにしても、彼らにはプロとしての好パフォーマンスを期待したい。



【了】



城福達也文 text by Tatsuya Jofuku

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