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清水の助っ人が披露した“痛がる振りノールックヒールパス” それは日本に不足する「マリーシア」だ

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 9日に行われたJ1第25節ヴァンフォーレ甲府vs清水エスパルスの一戦は、FW北側航也のゴールにより清水が1-0で勝利を収めた。この試合では、FWミッチェル・デュークの"あるプレー"が勝負の命運を分けた。



 決勝点となるゴールが生まれたのは後半25分。相手陣地での浮き球にデュークと甲府DF新里亮が競り合うと、接触した直後にデュークは頭を押さえ辛そうに痛がった。



 しかし、その瞬間だった。ゴールに背を向け、頭を抱えて悶えるデュークは後方に落ちてきたボールを右足のヒールでパスを送るトリックプレーに打って出た。



 これに完全に意表を突かれた相手DF陣は完全に出遅れてしまう。パスは北川の胸元にピタッと収まり、それを丁寧にトラップすると、北川はそのまま右足を一閃。ネットに突き刺し先制点を奪った。






 これぞ騙し討ちと言わんばかりのワンシーンだが、ブラジルではこのようなプレーを「マリーシア」という。「マリーシア」とは、直訳で「ずる賢さ」という意味合いだ。



 ボールをセットする振りをしてそのままシュートする。もしくは、すでに警告を受けている相手選手の足に自ら掛かりにいき退場に追い込む。または、過剰に痛がり時間稼ぎをする。これらのような「マリーシア」はブラジルでは日常茶飯事のプレーだ。



 「マリーシア」は、ブラジルを含めた世界各国において、決してマイナスな意味合いを指し示していない。むしろ、クレバーなプレーとして称賛を受けることもある。「ずる賢さ」が勝負の鍵を握ることもあると、サポーターも重々理解しているのだ。



 そして、この試合ではまさにデュークの「マリーシア」が90分間で唯一となるゴールを生み出し、まさに勝敗を分けるワンプレーとなった。あの瞬間は本当に痛かったのかもしれない。ただ、その痛みを不意打ちのプレーに利用しようと意図的にヒールパスを選択したことには間違いない。



 これは日本にはやや欠けている要素だ。フェアプレーを重んじる実直な日本人には決して好感度の高くないプレーとして映るかもしれない。しかし「マリーシア」は、勝つために時にはダーティーなプレーも厭わないという「勝利至上主義」の表現である。これはある意味、サッカーで最も重要な要素にもなりえる。



 日本代表が国際大会で、JリーグクラブがACLで勝ち抜いていくために、この「マリーシア」を引き出しとして備えておくことに越したことはないはずだ。



【了】



城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku


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