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セルヒオ・ラモスはなぜセットプレーでゴールを量産できる? その理由は勝負強さだけにあらず。

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 セルヒオ・ラモス。レアル・マドリードとスペイン代表で主将を務める彼は、いまや世界最高のセンター・バック(CB)として、その地位を確固たるものとしている。



 退場数が歴代最多の通算18回と、その粗さが玉に瑕ではあるものの、フィジカルコンタクト、スピード、フィード精度においてはいまや他の追随を許さぬ存在感を放っている。中でも、一際輝きを放っているのは、そのストライカーさながらの得点力だ。



 昨季は公式戦10ゴールと、CBにも関わらず二桁得点を記録しており、守備のみならずゴールで白い巨人を牽引してきた。そして、特に彼がその得点力を発揮するのは、セットプレーの場面だ。



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 セットプレーからのゴール量産については当時同僚だったFWアルバロ・モラタも「どうやってあれだけのゴールを決められるのか…教えてほしいくらいだ」と、その決定力に舌を巻いていた。



 では、彼はなぜ、セットプレーの場面でゴールを決めることができるのか? そこには決して勝負強さだけではない、緻密な戦略と統率力が存在していた。






 これはバイエルン・ミュンヘン戦のセットプレーの場面。ゴール前に構えたラモスは、これでもかと言うほど顔や目を機敏に動かし敵味方のポジショニングを確認。



 すると、同じくボックス内で構えていたFWマルコ・アセンシオにアイコンタクト。近寄ってくると、顔を振って相手DFジェローム・ボアテングを指しながら、「ここに残れ」とボソッと一言伝えた。



 アセンシオが小さく頷くと、今度は少し遠い位置に立っていたDFナチョ・フェルナンデスにアイコンタクトを送る。それに気付いて近寄ってきた際に、再び顔を振ってボアテングを指し示した。このラモスの細かな指示に、マークの確認に急ぐバイエルン一同は一切気づいていない。



 とりわけ”ターゲット”に定めたボアテングに対しては、ラモスが終始その死角に入ることを意識していたため、そのようなやりとりが行われていることを、ボアテングは知る由もなかった。



 彼は直前にラモスのポジショニングを再度確認し、マークは問題なしと判断。しかし、その時はすでにラモスの術中にかかってしまっている段階だった。時既に遅しだったのだ。



 MFトニ・クロースがボールを放り込むと、アセンシオとナチョはボールを競りに行くのではなく、一目散にボアテングに突っ込んでいく。思わぬ奇襲に動向を封じられたボアテングの前を、優雅にラモスが駆け抜け、フリーでヘディングシュートを叩き込んだ。



 いかがだろうか。これは氷山の一角に過ぎないが、ラモスがセットプレーの場面でゴールを量産しているのは、決してラッキーボーイだからではなく、勝負強いという理由だけでもなく、このような相手にも悟られないほどの細かな指示とストラテジーが背景にあったのだ。



 結論を言えば、現段階ではやはりラモスが世界最高のCBと明言することに差し支えはなさそうである。



【了】



城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

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