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マネの正体は頭脳派【後編】 サラーのゴールを生んだ、数字に反映されない”世界陸上“的アシスト

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 前編ではサディオ・マネの”目に見える“結果となったゴールについて触れた。後編では、”目に見えない”結果となったアシストについて記述していく。



 まず、“目に見えない”アシストとはどういうことなのか? それは、要は数字のデータとしては残らないアシストであるということ。



 コーナーキック(CK)でクロスを上げ、それを味方選手がヘディングで押し込む。これは言うまでもなく”目に見える”アシストからのゴール。厳密には、スコアラーがゴールを決める直前に供給されたパスをアシストという。当然のことを言っているに過ぎないが、この試合で見せたマネのアシストは、いわば数字上のデータには残されない、”目に見えない”アシストなのだ。



 後半12分にサラーが決めたチーム3得点目の場面。自陣CKのこぼれ球に対し、アーセナルDFベジェリンが目測を誤り、サラーにボールを奪われてしまう。ほとんどのフィールドプレイヤーがCKのチャンスに備えていたため、サラーはがら空きのスペースに猛烈なスピードでドリブルを開始する。



 慌てて2人の相手DFが全速力で戻るが、ここで登場したのがマネだ。トップスピードで駆け上がりを見せると、敵陣のゴール前へと走っていく。かに思えたが、実際に向かう先はそうではなかった。マネが入り込んでいったのは猛追する相手DF陣の前のスペース。サラーのシュートを阻もうとする相手選手たちに対し、最速の俊足を活かして自らが盾となったのだ。



 マネの気の利いたブロックにより、相手のプレッシングを受けず済んだサラーは、落ち着いてネットに流し込みゴールを奪った。






 マネのプレーは決してアシストとして換算されることはない。しかし、いくら俊足のサラーといえど、ドリブルした状態では、あのままいけば少なくともプレミア屈指のスピードを誇るベジェリンには追いつかれていただろう。しかし、マネはピッチ上で誰よりも速いスピードを自分のためではなくサラーのために活かそうと、ベジェリンの動線を阻止した。これは、紛れもないアシストと言っていい。



 ボールに触らず、その走力のみでゴールをサポートした、まさに”世界陸上”的とも言えるようなアシスト。ピッチの現状を把握した上で、自分がどう動くべきかを瞬時に判断したその状況判断の鋭さには舌を巻かずにはいられない。



 数字には決して反映されない。それでもこの”目に見えない”アシストがチームにさらなる追加点をもたらし、マネがただ速いだけではないということを明確に体現してみせたシーンとなった。



 誰よりも速く、誰よりもフィジカルに長け、そして誰よりも頭脳的にプレーするマネは、今後もリバプールにとって絶対的なエースとしてチームを引っ張っていくことに疑う余地はない。



【了】



城福達也●文 text by Tatsuya Jofuku

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